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研究内容

横浜デジタルアーツ専門学校情報デザイン研究室では、今までに視覚障害者や色覚障害者などの情報弱者でも使いやすいコンテンツを作ってきました。
コンテンツが使いやすいかどうなのか調べるためにユーザビリティテストと呼ばれるテストを実施し、改善してより使いやすいものを 制作してきました。
毎回、研究した内容は学会等で発表を行っています。

研究室URL :http://www.asanoken.com/


ユーザビリティとは
  ユーザビリティという言葉の意味は、『どれだけ使いにくい数値が低いか』ということをあらわします。
  ユーザビリティがよくなった = 使いやすくなったと考えていいと思います。

タスクとは
  処理しなければならない作業課題のこと


今回「い〜せや」リニューアルで行った研究ですが、 私たちは、過去にユーザビリティを評価するために様々なテスト方法を行ってき ました。その中でも 、最も多くかつ有効な方法として「プロトコル分析法」があります。
プロトコル分析とは、対象(今回の場合「い〜せや」)を実際にユーザに使用してもらい、そこで起こった行動と発話から分析する方法です。
発話から分析しますが、行動データ(ユーザが操作した時間・数値)に頼った手法と言えます。

タスクがはっきりしているものにはこのプロトコル分析を使用し、ユーザビリティ上の問題点を発見することができます。しかし、「い〜せや」のように「この商店街はどんなところだろう?」というタスクが曖昧なWebサイトにはプロトコル分析を使うことが出来ません。
そこで、このようなWebサイトに対してグループインタビューという方法を使い問題点を抽出し、その点を改良しました。

今回はタスクが曖昧なWebサイト改良の事例となります。



本研究は、タスクが曖昧なWebサイトのユーザビリティ改善に、グループインタビ ューが有効であると いう事を立証するものである。


本研究は、平成16年11月より平成17年9月までの期間、横浜市経済局商学連携助成事業により横浜市から助成金を受けて、本研究室が横浜市瀬谷区商店街連合会との協同研究として行いました。

実施内容としては、商店街紹介の Web サイトを、ユーザビリティの視点から検証しリニューアルを行います。





グループインタビュー風景

第 1回目

リニューアル前

グループインタビュー

第 2回目

β版

グループインタビュー

プロトコル分析   

第 3回目

完成版

グループインタビュー

プロトコル分析   

ユーザビリティテストは合計3回行いました。







グループインタビューとは
瀬谷区の方々に「い〜せや」を閲覧してもらいながらこちらが用意した質問について話し合ってもらった。
司会者が中心となって話し合いを進め、一つの質問について話し合う時間を決め、終わった時点でその質問に対して自分の意見を用紙に記入する方法です。
話し合いの内容は、「い〜せや」の使い易さについてが主で、1回のインタビューの時間は約1時間半〜2時間程度です。
グループインタビュー風景 
被験者の年齢層と人数

年齢層

年齢

被験者の人数

低年齢層

小学生

6人

中年齢層

16歳〜

5人

高年齢層

60歳以上

5人


以下のことがらにあてはまる方々を被験者とした。

・ PCを触ったことがあり、マウス操作ができる
・瀬谷区の住民であること
・ 3つの年齢層のどれかに属している

リニューアル前グループインタビュ
  リニューアル前のい〜せやに対してグループインタビューを行いました。

【リニューアル前グループインタビュー結果】
  低年齢層
  低年齢層

中年齢層
 

  高年齢層
  高年齢層

全年齢層を通じて以下のような意見が多かった。
・Webサイト全体に構成やデザインに統一感がなく迷いやすい。
・画像が少なく、地域のイメージがつかみ難い。

低年齢層では
・色から送られるメッセージを特に注目していた。
  (赤なら危険、黄色なら注意しろのようなメッセージ)

中年齢層では
・ Webサイトの情報を疑ってしまうという、分別のある大人らしい意見が見られた。

高年齢層では
・ 瀬谷区のイメージを持つ画像を多く使って欲しいという意見が多かった。

  これらのことから情報を整理し、サイトのデザインに統一性を持たせることでユーザに安心感をあたえるようリニューアルを進めました。

β版グループインタビュー
  私たちがリニューアルしたβ版い〜せやに対してグループインタビューを行いました。

【β版グループインタビュー結果】
 低年齢層
 低年齢層 β版

 中年齢層
  中年齢層 β版

 高年齢層
  高年齢層 β版
 Web サイトの目的の明確化、情報の整理の強化、関連性をあげることが必要。
 リニューアル前の評価結果とほぼ同様なところが多い。

完成版グループインタビュー
  β版を改良した完成版い〜せやでグループインタビューを行いました。
  被験者全員に、完成版「い〜せや」の評価を依頼しました。評価方法は、β版グループインタビューで挙がった問題点が改善されたか
  否  かをチェックリスト方式で行いました。
  結果としては、 13人の被験者中 12人が、5項目あった問題点について「改善された」、「ほぼ改善された」 と評価しました。






 プロトコル分析はβ版「い〜せや」、完成版「い〜せや」を対象に合計2 回行いました。
  被験者の条件は、グループインタビューと同様に設定し、各年齢層4名ずつ行いました。
  今回のプロトコル分析では、テストルームは使用せず、瀬谷区に私たちが赴きテストを行いました。

被験者にやってもらうこと(目的)
 「い〜せや」を使って、お昼ご飯を食べるところを探してもらう。
 
操作ステップ
  @行きたいお店を探す
  A行きたいお店を選ぶ
 Bそのお店の情報をチェック、メモする
 Cトップページに戻る

結果

タスク達成者

年齢層

β版

完成版

低年齢層

4/4

4/4

中年齢層

4/4

3/4

高年齢層

3/4

0/4


β版の結果

年齢層

ステップ 1

ステップ 2

ステップ 3

ステップ 4

平均タスク

達成時間

低年齢層

11秒

2分35秒

5分52秒

1分13秒

9分51秒

中年齢層

26秒

3分34秒

8分08秒

47秒

12分55秒

高年齢層

1分00秒

3分04秒

1分44秒

1分14秒

8分48秒



完成版の結果

年齢層

ステップ 1

ステップ 2

ステップ 3

ステップ 4

平均タスク

達成時間

低年齢層

17秒

6分25秒

5分06秒

1分10秒

12分58秒

中年齢層

7秒

4分43秒

1分21秒

1分01秒

7分12秒

高年齢層

タスク断念

タスク断念

タスク断念

タスク断念

 

分析
グループインタビュー風景   β版と完成版とでは、行動データ上の改善は見られませんでした。
また、タスク断念も「タスク達成者」の表のように高年齢層を中心に完成版に多く見られました。
  年齢層別に見て低年齢層、中年齢層は大きな差は見られなかったが高年齢層に至っては、テストを行ってもらう人がどれだけパソコンや Web サイトに慣れているかによって大きく差が見られました。

プロトコル分析を行って
 今回実施したプロトコル分析の行動データからは問題点を発見することはできませんでした。
情報の階層構造が浅いため、無理矢理クリックして行けば求めた情報に辿り着いてしまうためである。また、PCやWebサイトに不慣れな人は、情報に辿り着く前にタスク断念をしてしまう傾向がありました。これらのことから、今回のテストでは、ユーザビリティ上の問題点は行動データからは読み取ることはできませんでした。

 






・今回リニューアル前、完成版UP後にアクセス解析を実施したところ、月間約50,000PVから約180,000PV へと大幅に増加した。
リニューアルは成功と言える。
・タスクが曖昧なWebサイトのユーザビリティ改善には、グループインタビューを使用することは有効な手段と言えるのではないかという考えに至った。
・タスクが曖昧なWebサイトのユーザビリティ改善には、プロトコル分析は有効な手段とは言えなかった。